2025年(令和7年)に施行された改正刑法により、従来の「懲役刑」と「禁錮刑」が廃止され、新たに「拘禁刑(こうきんけい)」が一元化して導入されました。
これにより、明治時代から続いていた日本の刑罰制度が大きく転換しました。
この改正が行われた主な趣旨は、「受刑者の特性に応じた、柔軟で効果的な再犯防止・更生教育の実現」にあります。
具体的な趣旨と背景のポイントは以下のとおりです。
1. 「一律の刑務作業」から「柔軟な処遇」への転換
従来の課題: 従来の「懲役刑」は刑務作業が義務であり、「禁錮刑」は作業義務がありませんでした。
しかし、受刑者の高齢化や、精神的な障害、薬物依存といった個々の事情を抱える人が増える中、「全員に一律の木工やミシン縫いなどの作業を科す」だけでは、根本的な立ち直りにつながらないケースが増えていました。
拘禁刑の狙い: 拘禁刑では、刑務作業の義務付けをなくし、「刑務作業」と「改善指導(更生教育)」を個人の状態に合わせて柔軟に組み合わせられるようにしました。
2. 個々の受刑者の特性(高齢化・依存症等)への対応
受刑者一人ひとりの問題性に直接アプローチする時間を十分に確保できるようになりました。
高齢の受刑者: 体力低下により従来の刑務作業が困難な場合、リハビリや認知症予防プログラム、福祉施設へのスムースな移行支援を優先できます。
薬物依存・痴漢などの依存症受刑者: 刑務作業の時間を減らし、再犯防止のための専門的な心理カウンセリングや教育プログラム(指導)を重点的に行うことが可能になります。
学力不足の受刑者: 社会復帰後の就労を見据え、基礎的な学習支援や資格取得のための時間を多く割り当てられます。
3. 実質的な格差の解消
従来の「禁錮刑」の受刑者は作業の義務がないものの、実際には自発的に作業(請願作業)を希望するケースがほとんどでした(何もせず部屋に居続けることの精神的負担が大きいため)。
このため、懲役と禁錮を分ける実質的な意味が薄れており、両者を「拘禁刑」に一本化することで、法制度を実態に合わせる形となりました。
法律上の規定(刑法第12条)でも、拘禁刑は「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる」と定められており、単に刑務所に閉じ込めて苦役を科す(報応)だけでなく、「社会に適合させて戻す(教育・更生)」ことに主眼が置かれている点が最大の趣旨です。
弁護士 濵門俊也
住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目6−2 安井ビル 5f
電話番号:03-3808-0771
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