夫名義のマンションに居座る「義理の妹一家」...売却時に「明け渡し」を求められる?

query_builder 2024/01/17

 「夫名義の家に住み着く義理の妹一家を追い出したい」という女性(トピ主)が、相談を寄せました。

トピ主によると、義理の妹は駆け落ちして2児をもうけるも、夫の借金問題などで離婚(現在は再婚して新しい家族あり)。

住むところがなくなり、当時独身だったトピ主の夫が購入した中古マンションに親子で住み着いたそうです。

その後、夫はトピ主と結婚、子どももできました。

トピ主いわく「(夫は)年上のため定年まであまりありません。収入はありますが、夫があまりお金に執着がなく使うほうなので、子どもの進学などがいまから心配です」。

そこで将来的には、現在義理の妹一家が住んでいる夫名義のマンションを売って換金したいと思っているそうです。

ただ、義理の妹一家は「生活がやっとで、子どもはひとりがニートで、ひとりはアルバイト」とのこと。

スムーズに明け渡してもらうことは難しそうです。

トピ主は、義理の妹一家にマンションを明け渡してもらうことはできるのでしょうか。

神田近くの人形町の『弁護士 濵門 俊也』が回答します。


●コメント

「トピ主は、義理の妹一家にマンションを明け渡してもらうことはできるのでしょうか。」とのご質問に対する回答としては、「できない」ということとなります。

トピ主の旦那さんの妹さん一家がトピ主の旦那さんが購入した本件中古マンションに住みついた経緯からしますと、旦那さんは義理の妹さんに無償で貸していることとなり、義理の妹さんは「使用借権」という占有権原を有していることとなります。

本件中古マンションはトピ主の旦那さんの特有財産(婚前に取得したか婚姻後に取得したかどうかは関係ありません。婚姻後に取得した場合には離婚後の財産分与の対象財産となりますが、本件では婚前に取得しているため,財産分与の対象財産とならないというだけです。)ですから、トピ主は本件中古マンションに対しては現時点においては何ら権利がありません。

将来的には、現在義理の妹一家が住んでいる夫名義の本件中古マンションを売って換金したいと思っているトピ主としては、旦那さんを説得し、義理の妹さん一家を追い出してもらうほかありません。

トピ主が旦那さんを説得し、本件中古マンションを売却することを決断された場合には、トピ主の願いが叶うこととなるでしょう。

もっとも、先ほど「現時点においては」と断わっておいたのは、相続のことを念頭に置いたからです。

すなわち、トピ主の旦那さんがトピ主よりも先にお亡くなりになり、相続が発生した場合には、トピ主にも本件中古マンションの所有権を取得する可能性があります。

相続後には、トピ主は、義理の妹さん一家にマンションを明け渡してもらうことができる可能性があります。

トピ主としては、義理の妹さん一家を追い出すには,本件中古マンションの使用貸借契約を終了させる必要があります。

ちなみに、義理の妹さんが亡くなった場合には本件中古マンションの使用借権が消滅します(民法第599条)。

義理の妹さんのお子さんらは,使用借権を相続できません。



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