▼刑事事件における違法収集証拠排除法則

query_builder 2025/12/16
▼刑事事件における違法収集証拠排除法則

刑事事件における**違法収集証拠排除法則(いほうしゅうしゅうしょうこはいじょほうそく)**について、重要裁判例である「昭和53年判決」の基準を中心に、わかりやすく解説します。


1. 違法収集証拠排除法則とは

捜査機関(警察など)が、違法な手続によって収集した証拠を、裁判での証拠として使うことを禁止するルールのことです。

例えば、令状がないのに勝手に家に入って見つけた証拠や、暴力を振るって聞き出した自白などは、たとえそれが「真犯人を示す決定的な証拠」であっても、裁判では使えなくなります(証拠能力が否定される)。

なぜ、真実発見よりも手続きを優先するのか?

主に以下の3つの理由(根拠)に基づいています。

将来の違法捜査の抑止:「違法に集めても裁判で使えない」とすることで、警察の違法行為を防ぐ。

司法の廉潔性(れんけつせい): 違法に手に入れた物を裁判所が利用することは、裁判所自体が違法行為に手を貸すことになり、司法への信頼を損なう。

基本的人権の保障: 憲法が保障する適正手続(31条)や令状主義(35条)を守るため。


2. 証拠が排除される「基準」(昭和53年最高裁判決)

日本では、手続に少しでもミスがあれば「自動的にすべて排除される」わけではありません(これを相対的排除説といいます)。

現在も実務の決定的な基準となっている最高裁昭和53年9月7日判決では、以下の2つの要件を満たした場合にのみ、証拠が排除されるとしています。

要件①:重大な違法があること 単なる手続ミス(些細な記載ミスなど)ではなく、**「令状主義の精神を没却(ぼっきゃく)するような重大な違法」**があることが必要です。

判断要素: 違法の程度、警察官に悪意(令状主義を潜脱する意図)があったか、などが考慮されます。

要件②:排除相当性(将来の抑止)

その証拠を採用することが、**「将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でない」**と認められること。

つまり、「これを許してしまったら、今後も同じような違法捜査が横行してしまう」と判断される場合に排除されます。


3. 毒樹の果実(どくじゅのかじつ)

「最初に違法に集めた証拠(親)」だけでなく、**「その証拠を元にして、新たに発見された証拠(子)」**も使えなくなるという考え方です。

毒樹(毒のある木): 最初の違法な捜査(例:違法な逮捕)果実(そこから生じた実): それに基づいて得られた証拠(例:逮捕後の取り調べで得た自白や、自白に基づいて発見した凶器)木に毒があれば、そこから実る果実にも毒があるため、どちらも裁判では食べられない(使えない)というロジックです。

ただし、日本(最高裁)では、最初の違法捜査と後の証拠との間に**「密接な関連性」**がある場合に限り排除されます。


4. まとめ この法則は、警察をはじめとする捜査機関が「犯人を捕まえるためなら何をしてもいい」と暴走するのを防ぐための重要なブレーキです。

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弁護士 濵門俊也

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目6−2 安井ビル 5f

電話番号:03-3808-0771

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