▼「3つのe(e-Filing, e-Case Management, e-Court)」

query_builder 2026/06/03
人形町 コラム
▼「3つのe(e-Filing, e-Case Management, e-Court)」

2026年より本格的な運用がスタートした「3つのe(e-Filing, e-Case Management, e-Court)」により、民事裁判の進め方は劇的に効率化されました。

単に「紙がデータになった」というレベルではなく、実務のタイムラインや証拠提出の戦略そのものが変化しています。

弁護士実務の視点から、e訴訟を最大限に活用するためのポイントを整理します。


1. 民事裁判IT化の3大ピラー(2026年時点)

現在の実務は、以下の3つの要素を軸に回転しています。

これらを統合的に使いこなすことが、迅速な紛争解決の鍵となります。

e-Filing:訴状・準備書面・証拠のオンライン提出。24時間提出可能、郵送・持参コストの完全撤廃

e-Case Management:裁判記録の電子閲覧・共有事務所からいつでも記録を確認。期日の進行管理が容易

e-CourtWeb:会議による口頭弁論・証拠調べ遠隔地の裁判所への出張が不要。和解協議の柔軟な実施


2. 実務を加速させる「e訴訟」活用法

証拠提出のデジタル・シフト

これまでの「紙のコピー」では伝わりにくかった証拠も、デジタルならよりダイレクトに裁判官へ訴求できます。

動画・音声の直接提出: ドライブレコーダーや録音データを、媒体(CD-R等)を介さずシステムに直接アップロード。カラー・高精細画像: 境界紛争や建物の瑕疵など、視覚的なディテールが重要な事案で、劣化のない証拠提示が可能。

遠隔地事案の積極的受任:出張コストがボトルネックとなっていた遠方の案件も、e-Courtの活用により、移動時間や旅費を気にせず受任できるようになりました。

これは事務所の営業エリアを全国へ広げる大きなチャンスです。


3. e訴訟開始までの実務フロー

オンラインで手続を開始するための標準的なステップです。

①システム利用登録:事前準備。

裁判所の「民事裁判手続利用者識別番号」を取得し、弁護士個人の電子署名(マイナンバーカード等)との紐付けを完了させます。  

②訴状・証拠の電子化:形式チェック。

提出するPDFファイルに、OCR(文字認識)処理を施します。

裁判官が記録を検索・引用しやすくすることで、心証形成にプラスの影響を与えます。

③オンライン申立て:e-Filing。専用システムから申立てを行います。

印紙代や予納郵券も電子納付(Pay-easy等)を利用することで、完全にデスクで完結します。

④Web会議のセットアップ:e-Court準備。

Teams等のシステムで裁判所・相手方と接続テストを行います。

証拠の画面共有機能など、プレゼンスキルの習熟が求められます。


4. 運用上の注意点とリスク管理

データ真正性の確保: デジタル証拠は加工が容易であるため、メタデータの保持や、必要に応じたクラウドストレージのログ提出など、ハッシュ値を用いた証明が必要になるケースが増えています。

ITリテラシーの格差: 相手方が本人訴訟の場合や、ITに不慣れな代理人の場合、一部の手続が従来どおりの「紙」で行われるハイブリッド運用になる可能性があります。

通信環境の整備: e-Court中に音声が途切れることは、迅速な裁判の妨げになるだけでなく、法廷の厳粛さを損なうため、事務所内の高速かつ安定した回線確保が不可欠です。


----------------------------------------------------------------------

弁護士 濵門俊也

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目6−2 安井ビル 5f

電話番号:03-3808-0771

----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG