▼長期間の借地契約における「更新」と「賃料改定」のポイント

query_builder 2026/04/20
人形町 コラム
▼長期間の借地契約における「更新」と「賃料改定」のポイント

長期間におよぶ借地契約は、地主様と借地権者様の双方にとって、世代を超えた「息の長いお付き合い」となります。

しかし、契約期間が長いからこそ、更新時や経済情勢の変化に伴う賃料(地代)の見直しにおいて、思わぬトラブルが生じやすいのも事実です。

2026年現在、裁判手続のIT化も全面的に運用が開始され、紛争解決のスピード感も変化しています。

本記事では、実務上の重要ポイントである「更新」と「賃料改定」について、弁護士の視点から詳しく解説します。


1. 借地契約の「更新」をめぐる法的論点

多くの長期借地契約では、旧借地法(大正10年制定)が適用される事案が依然として多く残っています。

更新に際して最も重要なのは、合意が整わない場合にどのような法的帰結を辿るかという点です。

更新拒絶と「正当事由」の壁

借地権は法的に強く保護されており、地主様が更新を拒絶するためには「正当事由」が必要です。

土地使用の必要性: 地主様自身やその親族が土地を必要とする事情。

借地に関する従前の経過: 賃料支払いの遅延の有無や、これまでの信頼関係。

土地利用の状況: 建物が老朽化しているか、有効活用されているか。

立ち退き料の提供: 正当事由を補完するための金銭的補償。

これらを総合的に判断しますが、建物が存在する限り、更新拒絶が認められるハードルは非常に高いのが実情です。

更新料の支払い義務

法律上、特約がない限り、借地権者に更新料の支払い義務は生じないというのが原則的な考え方です。

しかし、実務上は「更新料を支払うことで合意更新し、将来の紛争を避ける」という運用が一般的です。

相場観としては、借地権価格の3%〜5%程度とされることが多いですが、個別の事情により調整が必要です。


2. 賃料(地代)改定を適正に行うためのポイント

「30年前から地代が変わっていない」「固定資産税だけが上がっている」といったケースは少なくありません。

賃料増減額請求権(借地借家法第11条)は、経済事情の変動があった場合に、将来に向けて賃料の改定を求めることができる権利です。

賃料改定の判断基準

裁判実務において、賃料が「不相当」かどうかを判断する際は、主に以下の3点に注目します。

租税公課の変動: 固定資産税や都市計画税の増減。

土地価格の変動: 近隣の地価下場や経済情勢の変化。

近隣の地代相場との比較: 類似する土地の賃料水準。

単に「周りが上げているから」という理由だけでは足りず、公租公課の倍率推移や、賃料改定の履歴といった客観的なデータに基づいた主張が求められます。

交渉が決裂した場合の手続き 協議が整わない場合、まずは「民事調停」を申し立てる必要があります(調停前置主義)。

2026年4月からは、訴訟のみならず調停手続においてもオンラインでの書類提出やウェブ会議の活用が定着しており、遠方の当事者間でも以前よりスムーズに手続きを進めることが可能になりました。


3. トラブルを未然に防ぐための実務的アドバイス

借地関係のトラブルは、一度感情的な対立に発展すると、解決までに数年を要することも珍しくありません。

契約内容の明確化: 更新料や増改築に関する特約、賃料改定の時期などを改めて書面で確認・整理しておくことが第一歩です。

客観的なエビデンスの収集: 賃料改定を求める際は、不動産鑑定士による鑑定評価や、周辺の成約事例を調査しておくことで、交渉の説得力が増します。

早期の法的診断: 「更新時期が近づいているが、条件が折り合わない」「地代の値上げを打診されたが適正かわからない」といった段階で、弁護士に相談することをお勧めします。


結びに代えて

借地権をめぐる問題は、法的な解釈だけでなく、その土地が持つ歴史や当事者間の人間関係が複雑に絡み合います。

最新の裁判実務やIT化された手続を熟知した弁護士が介在することで、感情論を排した合理的な着地点を見出すことができます。

長期的な土地活用を安定させるために、まずは現在の契約内容を見直してみてはいかがでしょうか。


----------------------------------------------------------------------

弁護士 濵門俊也

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目6−2 安井ビル 5f

電話番号:03-3808-0771

----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG