▼名誉毀損罪における「公然」性―駅のタクシープールでの会話

query_builder 2025/12/26
▼名誉毀損罪における「公然」性―駅のタクシープールでの会話

「公然性(こうぜんせい)」という言葉は、法律用語の中でも少しイメージが掴みにくいですよね。
駅のタクシープールでの会話を例に、「なぜ公然性が認められやすいのか」を、専門的な視点を交えつつ、噛み砕いて解説します。
1. 「公然性」の正体とは?
法律(主に名誉毀損や侮辱罪)でいう「公然」とは、「不特定、または多数の人が、その内容を知り得る状態」を指します。
ここで大事なポイントは2つです。 「知り得る状態」でいい: 実際に誰かが聞いていた必要はありません。
「誰かに聞かれる可能性があった」だけで公然性は成立します。
伝播(でんぱ)の可能性: たとえ1人に対して話した内容でも、その人が他の人に言いふらす可能性があれば「公然性がある」とみなされることがあります(伝播性の理論)。
2. タクシープールという場所の特殊性
駅のタクシープールは、以下の理由から「公然の場」と判断されやすい環境です。
① 不特定の人が行き交う
駅を利用する一般客、歩行者、他のタクシー会社の関係者など、「全く関係のない第三者」が常に周りにいます。
窓を開けて話している。
ドアの外に立っている人と話している。
この状況は、周囲に「聞こうと思えば聞こえる人」が常にいることを意味します。
② 「他社」のドライバーであること ここが重要なポイントです。
自社の同僚: 「内輪の話」として秘匿性が認められやすい。
他社のドライバー: 法律上は「外部の第三者」に近い扱いになります。
他社のドライバーに情報を話すことは、「自分のコントロールできない範囲に情報を出した」とみなされ、そこから情報が広まる(伝播する)可能性が高いと判断される材料になります。
3. 判断を分ける「具体的な状況」
同じタクシープールでの会話でも、状況によってグラデーションがあります。
窓全開で、外の人と大きな声で話す非常に高い通行人も含め、誰でも内容を把握できるため。
窓を閉め、車内で1対1で話す低い密閉空間であり、外部に漏れる可能性が低いため。
窓は閉まっているが、外の人と身振り手振りで激しく話す中程度内容は聞こえなくても「言い争っている」等の事実は公然のものとなる。
4. なぜこれが問題になるのか(実務的な視点)
もしこの会話の中で「あそこの会社の○○さんは横領している」といった具体的な悪口(事実の摘示)があった場合、名誉毀損罪が検討されることになります。
密室での愚痴: 公然性がないため、罪には問われにくい。
タクシープールでの会話: 「公然と」事実を摘示したことになり、法的リスクが格段に上がります。
結論として 駅のタクシープールで、車内外に分かれて行われる会話は、「通行人や他社の耳に入る可能性が十分にある」ため、法的には「公然性がある」と判断されるのが一般的です。


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弁護士 濵門俊也

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目6−2 安井ビル 5f

電話番号:03-3808-0771

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