「話合いがまとまり、遺産分割協議書に全員で押印して一安心…」
そう思っていた矢先に、「解約したと思っていた休眠口座からまとまった残高が見つかった」「昔投資していた株式の通知が届いた」、あるいは逆に「亡くなった方の借金の督促状が届いた」というご相談は、相続実務において決して少なくありません。
一度完了した遺産分割協議の後に新たな財産が見つかった場合、これまでの話合いはすべてやり直しになるのでしょうか?
それとも、その財産だけを分け合えばよいのでしょうか?
今回は、後から遺産が見つかった場合の法律上の扱いと、こうしたトラブルを未然に防ぐための「遺産分割協議書における特約の結び方」について詳しく解説します。
1. 後から遺産が見つかった場合、協議はやり直しになる?
結論から言うと、原則として「すでに完了した遺産分割協議全体」がやり直し(無効)になるわけではありません。
新たに発覚した遺産についてのみ、あらためて相続人全員で「追加の遺産分割協議」を行うのが基本的な流れとなります。
【例外】協議全体が無効・取り消しになるケース
ただし、以下のようなケースでは、遺産分割協議そのものが「錯誤(勘違い)」や「詐欺・脅迫」によって無効・取消しとなる可能性があります。
発覚した財産が全体の大部分を占めていた場合 (例:総額1,000万円で協議を終えていたが、後から1億円の隠し口座が見つかった場合など。当初の前提が根底から覆るため、錯誤無効を主張できる可能性があります)
特定の相続人が意図的に財産を隠匿していた場合
2. マイナスの遺産(借金)が後から見つかった場合は?
見つかったのがプラスの財産ではなく「借金(債務)」だった場合は、注意が必要です。
金銭債務のような可分債務は、遺産分割協議の有無にかかわらず、法律上当然に各相続人に法定相続分に応じて承継されます。
もし「借金の存在を知っていたら相続放棄していた」という場合、条件を満たせば「借金の存在を知った時から3か月以内」であれば例外的に相続放棄が認められるケースもあります(※熟慮期間の熟慮始期の繰り下げ)。
放置せず、すぐに弁護士にご相談ください。
3. トラブルを防ぐ!遺産分割協議書に入れておくべき「2つの特約」
相続調査をどれだけ丁寧に行っても、後から未知の財産が見つかるリスクをゼロにすることはできません。
そのため、最初の遺産分割協議書を作成する段階で「後から遺産が見つかった場合の取り扱い」を明記しておくことが極めて重要です。
実務では、主に次の2パターン(特約)を使い分けます。
① 「特定の相続人が取得する」と定める条項(手続の簡略化重視)
残高が不明な少額の休眠口座や、手元に届くかもしれない還付金などが想定される場合に使います。
【文面例】
本協議書に記載のない遺産(本協議成立後に判明した遺産を含む)については、相続人〇〇〇〇がこれを取得する。
メリット:後から財産が見つかっても、再度全員で協議・押印する必要がなく、スムーズに手続が進む。
注意点:思わぬ高額資産が見つかった場合に「こんなはずではなかった」と他の相続人と揉める原因になる。
② 「あらためて全員で協議する」と定める条項(公平性重視)
不動産や高額な有価証券など、予期せぬ価値ある資産が見つかる可能性がある場合に使います。
【文面例】
本協議書に記載のない遺産(本協議成立後に判明した遺産を含む)が発見されたときは、相続人全員において改めて分割協議を行う。
メリット:すべての相続人にとって公平な解決を図ることができる。
注意点:再び全員で協議を行い、新たな遺産分割協議書を作成して押印を集める手間がかかる。
4. まとめ:遺産調査と協議書作成は弁護士へ
遺産分割協議が成立した後にトラブルへ発展する原因の多くは、「最初の遺産調査の漏れ」と「協議書の文面の曖昧さ」にあります。 後から財産が出てきて話合いがこじれてしまった相手から「遺産を隠していたのではないか」と疑われている
後遺症を残さない遺産分割協議書を作成したい
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度当事務所までお気軽にご相談ください。
将来のトラブルまで見据えた最適な遺産分割案と協議書の作成をサポートいたします。
弁護士 濵門俊也
住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目6−2 安井ビル 5f
電話番号:03-3808-0771
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