▼地主さんから地代を値上げすると言われました。どのように対応すれば良いでしょうか?

query_builder 2026/07/17
人形町 コラム
▼地主さんから地代を値上げすると言われました。どのように対応すれば良いでしょうか?

地代(借地料)の値上げを突然請求されると、どのように対応すべきか苦慮されるかと思います。

地主側から値上げの請求(地代増額請求)があったとしても、一方的な通告だけで地代が自動的に上がるわけではありません。

最終的な合意に至るか、裁判所の判断が下るまでは、これまでの地代を支払い続けることで債務不履行(未払い)を防ぐことができます。

以下に、実務上および法的に推奨される具体的な対応ステップを整理しました。


1. まず行うべき初期対応

① 安易に合意(署名・捺印)をしない

一度値上げに合意してしまうと、後から「やはり高すぎる」と撤回することは極めて困難です。

まずは「持ち帰って検討します」と伝え、即答を避けましょう。

② 値上げの「具体的根拠」を求める

借地借家法第11条により、地代の値上げ請求が認められるには主に以下の理由が必要です。

土地に対する公租公課(固定資産税・都市計画税)が増加した

土地の価格(地価)が上昇した

近隣の同種の地代と比較して不相当に安くなっている

地主側に対して、「値上げを求める具体的な理由」や、公租公課の推移がわかる資料、近隣相場のデータなどの提示を求めてください。

③ 契約書を確認する

借地契約書に「期間中は地代を増額しない」という特約(不増額特約)がないか確認します。

この特約がある場合、原則として地主側からの値上げ請求は認められません(※逆に「増額する」という特約があっても、借地人に不利なものは無効とされる場合があります)。


2. 交渉中の支払(債務不履行の回避)

交渉が長引いたり、提示額に納得がいかなかったりする場合でも、地代の支払いを止めてはいけません。

1、2ヶ月でも未払いが発生すると、借地契約を解除されるリスクが生じます。

「自分が相当と認める額(基本的には従来通りの金額)」を支払い続ける

借地借家法上、増額請求に異議がある間は、借地人が「相当と認める額」を支払えば足りるとされています。

地主が受領を拒否した場合は「供託」を行う

「値上げ後の金額でなければ受け取らない」と地主が受け取りを拒否した場合は、そのまま放置せず、速やかに最寄りの法務局で「弁済供託」の手続を行ってください。

これにより、法律上「地代を支払った」ことになり、契約解除を防げます。


3. 合意に至らない場合の法的プロセス

話合いがまとまらない場合、地主側がさらに増額を求めるには、以下の法的ステップに進むことになります。

なお、地代増額トラブルはいきなり裁判を起こすことはできず、まずは調停を経る必要があります(調停前置主義)。

民事調停(地代増額調停)

調停委員(不動産鑑定士などの専門家が含まれます)を交え、裁判所で話し合います。

ここで妥協点が見つかれば調停成立となります。

地代増額請求訴訟(裁判) 調停が不成立に終わった場合、地主側が訴訟を提起します。

裁判所が不動産鑑定などを経て、適正な地代を判決で決定します。


💡 裁判で値上げが決定した場合の注意点

裁判等の結果、「やはり値上げが妥当だった」と判断された場合、借地人は「過去に遡って差額分」を支払う必要があります。

その際、差額に対して年1割(10%)の利息を上乗せして支払わなければならないため、不合理な引き延ばしはリスクを伴います。

地主側から提示されている値上げ幅が、周辺相場や固定資産税の増額分と比べて妥当かどうかが今後の判断の分かれ目となります。


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弁護士 濵門俊也

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目6−2 安井ビル 5f

電話番号:03-3808-0771

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