▼日本における離婚後の親権制度

query_builder 2025/09/12
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日本における離婚後の親権制度は、長らく「単独親権」が原則でした。

つまり、父母が離婚する際には、どちらか一方を親権者として定めなければならず、もう一方の親は法律上の親権を失います。

これは、民法第819条に基づく制度で、戦後間もない1947年の民法改正以来、約77年間維持されてきました。
しかし、2026年に施行予定の民法改正により、離婚後も父母が「共同親権」を選択できるようになります。

これは、子どもの福祉をより重視し、親子関係の継続的な維持を図るための大きな制度転換です。
改正後は、父母が協議離婚をする際に、親権の形態として「単独親権」か「共同親権」のいずれかを選択できるようになります。

もし意見が一致しない場合は、家庭裁判所が子の利益を最優先に判断し、どちらの形態が適切かを決定します。
共同親権が認められた場合でも、すべての意思決定を常に両親が共同で行わなければならないわけではありません。

例えば、日常的な養育や急迫の事情がある場合には、一方の親が単独で意思決定を行うことが認められています。

これは、改正民法第824条に新たに規定される予定です。
この制度変更には、期待と懸念の両面があります。

期待される点としては、離婚後も両親が子育てに関与できることで、子どもの精神的安定や教育的環境が保たれやすくなること。

また、養育費の支払い意識が高まり、非親権者との交流も促進される可能性があります。
一方で懸念されるのは、父母間の対立が激しい場合に、共同親権がかえって子どもに悪影響を及ぼす可能性があることです。

特に、DVやモラルハラスメントの加害者との継続的な接触を強いられるケースでは、共同親権が子どもの安全を脅かすことにもなりかねません。

そのため、家庭裁判所の慎重な判断と、支援体制の整備が不可欠です。
なお、すでに離婚して単独親権となっている場合でも、改正法施行後には家庭裁判所に申し立てることで、共同親権への変更が可能になります。

ただし、これは自動的に認められるものではなく、調停や審判を経て、子の利益にかなうと判断された場合に限られます。
この改正は、親権制度の根本的な見直しであり、法的・社会的な影響は非常に大きいです。

制度の実効性や社会的影響に関心を持つ方にとっては、今後の運用や裁判例の蓄積も含めて、継続的な観察が必要なテーマですね。

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