▼社員の経歴詐称は、解雇理由となり得るか?

query_builder 2025/10/22
ChatGPT Image 手塚治虫風②

社員の経歴詐称は、解雇理由として十分となり得るものの、その詐称の内容や程度、会社に与える影響などによって判断が分かれます。

日本の裁判例の傾向から、解雇が有効となるかどうかの主なポイントは以下の通りです。


「重大な経歴」の詐称であるか

真実を告知していれば、会社がその社員を採用しなかったであろうと判断されるような重要な経歴の詐称である場合、解雇が有効となる可能性が高まります。

特に、採用決定の動機や、採用後の業務内容・賃金設定に重大な影響を与える学歴、職歴(特定の専門能力、前職での懲戒解雇歴など)、資格・免許、犯罪歴などの詐称は、重大とみなされやすいです。

逆に、軽微な詐称(採用にほとんど影響しないような職歴のわずかな期間の偽りなど)を理由とする解雇は、解雇権の濫用として無効と判断されるリスクがあります。


会社の企業秩序や信頼関係に与える影響

経歴詐称が、単に契約締結時の問題にとどまらず、入社後の労使間の信頼関係を損ない、経営秩序を乱す危険が極めて強いと判断される場合に、解雇が有効とされます。


会社の就業規則の定め

懲戒解雇とするためには、就業規則に経歴詐称を懲戒解雇事由として定めていることが必要です。


解雇までの手続の適正性

懲戒解雇を行う場合は、就業規則に基づき、労働者への弁明の機会付与などの適正な手続を踏む必要があります。


具体例としては、以下のようなケースで解雇が有効と判断される傾向があります。

業務に必要な専門的なプログラミング能力がないにもかかわらず、あると偽って採用されたケース。

会社の採用方針として高卒以下の学歴に限定していたにもかかわらず、短大卒の学歴を隠して採用されたケース。

前職での懲戒解雇歴や犯罪歴など、会社が知っていれば採用しなかったであろう事実を隠して採用されたケース。


重要なのは、個別の事案ごとに、詐称の内容、悪質性、業務との関連性、勤続年数、勤務態度などを総合的に考慮して判断されるということです。

したがって、具体的な状況に応じて解雇の有効性を判断するには、弁護士などの専門家にご相談されることをお勧めします。

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