▼証人尋問における反対尋問の勘所

query_builder 2025/10/08
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証人尋問における反対尋問の勘所は、相手方証人の証言の真実性を崩し、こちらの主張に有利な事実を引き出すことに集約されます。

反対尋問の目的を達成するための重要なポイントは以下の通りです。


反対尋問の基本的な目的と心構え


1. 目的は「証言の矛盾や弱点を突く」こと

反対尋問は、証人を申請した側(主尋問を行った側)の主張を裏付ける証言に対して、その証言の信用性を低下させることを主な目的とします。

具体的には、以下のような点を探ります。

矛盾点の指摘: 主尋問での証言や、提出済みの証拠(陳述書、書証など)、過去の供述との矛盾を突きます。

不自然な点、記憶の曖昧さの追求: 証言の不確実性や不合理な点を明らかにします。

信用性の確認: 証言をするにあたっての動機や公平性に疑問を投げかけます(例:利害関係の有無)。


2. 質問と回答のコントロール

反対尋問では、誘導尋問が原則として許容されています。

時間を有効に使い、証人に余計なことを語らせないよう、クローズドクエスチョン(「はい」「いいえ」で答えられる質問)を駆使して尋問をコントロールすることが重要です。

不用意な質問を避ける: 疑問に思ったことや聞きたいことを全て聞くのは、証人に不利な証言を引き出されてしまうリスクがあるため避けるべきです。

議論をしない: 証人と法廷で議論することは避け、事実の確認に徹します。

感情的にならず、冷静さを保つことも重要です。


効果的な反対尋問のテクニック

3. 周到な準備とシミュレーション 反対尋問の成功は、事前の準備にかかっています。

尋問事項の厳選: 尋問で何を明らかにしたいのかというゴールを明確にし、質問事項を絞り込みます。

証拠との照合: 提出された証拠を徹底的に読み込み、証言の真実性を崩すための弾劾証拠を準備します。

言い訳の想定: 相手方が予想外の非合理的な言い訳をすることも想定し、質問の順番や内容を検討します。


4. 矛盾を明らかにする構造(3つのC)

刑事事件の反対尋問で用いられる「3つのC」は、民事にも応用できる考え方です。

Commit(肩入れ): 証人に、主尋問や過去の供述を改めて確認させ、逃げ道を防ぎます。

Credit(信用状況の確認): 矛盾となる過去の話が、正確になされた、信用できる状況であったことを確認します。

Confront(対面): 1と2で固めた証言と矛盾する事実を提示し、矛盾を明らかにさせます。


5. 終え時の判断

反対尋問は、得たい証言を引き出したら、腹八分目で終えることも勘所の一つです。

やりすぎると、かえって証人に修正の機会を与えてしまったり、裁判官に聞かれたくない事実が引き出されたりするリスクがあるためです。

証人尋問は裁判の山場であり、反対尋問は特に弁護士の腕の見せ所とされます。

入念な準備と冷静な尋問技術が勝敗を左右します。

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