▼離婚時における親権と養育費

query_builder 2025/09/22
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離婚時における親権と養育費は、子どもの福祉を守るために極めて重要な法的・社会的要素です。

2024年に成立し、2026年までに施行予定の民法等改正により、これらの制度は大きく見直されつつあります。

以下に、現行制度と改正の方向性を踏まえた詳細な解説を行います。


親権の法的枠組みと改正の方向性


1. 親権の定義と構成
親権とは、未成年の子どもに対して親が持つ法的権利と義務の総称であり、以下の2つに大別されます:
• 財産管理権:子どもの財産を管理し、法律行為を代理・同意する権利。
• 身上監護権:子どもの生活・教育・健康などを監督・指導する権利。


2. 単独親権と共同親権
従来の制度では、離婚後は父母のいずれか一方が親権者となる「単独親権」が原則でした。

しかし、2026年施行予定の改正法では、父母双方を親権者とする「共同親権」も選択可能になります。
共同親権の導入背景
• 単独親権による親権争いの激化
• 養育費不払いの増加
• 子どもと非監護親との関係断絶
共同親権により、両親が協力して子どもの育成に責任を持つ体制が整えられ、子どもの利益がより確保されることが期待されています。


3. 親権者の決定基準
家庭裁判所が親権者を決定する際には、以下の要素が重視されます。
• これまでの監護実績(継続性の原則)
• 今後の育児体制と経済状況
• 親の健康状態と育児能力
• 子どもへの愛情と関係性
• 子どもの意思(15歳以上は特に尊重)


養育費の制度と実務


1. 養育費の定義
養育費とは、離婚後に子どもを育てるために必要な費用を、非監護親が監護親に支払う金銭です。生活費、教育費、医療費などが含まれます。


2. 養育費の算定方法
家庭裁判所が定めた「養育費算定表」に基づき、以下の要素を考慮して金額が決定されます:
• 父母双方の年収
• 子どもの人数と年齢
• 子どもの生活水準
• 特別な支出(障害・私立学校など)


3. 支払方法と履行確保
養育費は通常、月額で定期的に支払われますが、一括払いも可能です。支払いが滞った場合には、以下の手段で履行を確保できます:
• 公正証書による強制執行
• 家庭裁判所による履行勧告・命令
• 給与差押えなどの法的措置


4. 養育費の変更
収入の変化や子どもの進学などにより、養育費の増減が必要となる場合があります。家庭裁判所に申し立てることで、金額の変更が可能です。
実務上の留意点
• 離婚協議書や公正証書に親権・養育費の内容を明記することで、後のトラブルを防止できます。
• 親権と養育費は切り離して考えるべきであり、親権を持たない親にも養育費の支払い義務があります。
• 子どもの意思を尊重し、親子交流の機会を確保することが、子どもの健全な成長に資する重要な要素です。


親権と養育費は、単なる法的義務ではなく、子どもの未来を守るための社会的責任でもあります。

改正法の施行により、より柔軟で子ども中心の制度設計が進む中、当事者が正しい知識を持ち、冷静かつ誠実に対応することが求められます。

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