▼被疑者国選事件の解説

query_builder 2025/09/04
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被疑者国選事件とは、刑事手続において勾留された被疑者が、経済的に弁護人を依頼する余裕がない場合に、国が費用を負担して弁護人を選任する制度に関係する事件のことです。

この制度は、刑事訴訟法第37条の2に基づいており、被疑者の権利保護と手続の公正を確保するために設けられています。
この制度が導入されたのは2006年で、当初は死刑や無期懲役、または短期1年以上の懲役・禁錮に該当する重大事件に限られていました。

しかしその後、段階的に対象が拡大され、2018年には勾留されているすべての事件が対象となりました。

これにより、軽微な事件であっても、勾留されていて資力が乏しい被疑者は国選弁護人の援助を受けることが可能となりました。
制度の利用には、被疑者が勾留されていること、そして資力が一定以下であることが条件です。

資力については、資力申告書を提出することで判断され、一般的には50万円以下の資産しか持たない場合に該当します。申請が認められると、裁判所が弁護士を選任し、国がその費用を負担します。
この制度は、起訴前の段階で弁護人が関与することを可能にし、被疑者が黙秘権や供述調書の意味を理解したうえで捜査に対応できるようにする点で、冤罪防止にもつながる重要な仕組みです。

ただし、制度の存在を知らない被疑者も多く、申請手続が煩雑であることから、実際に援助が届かないケースもあるという課題も指摘されています。
なお、逮捕段階ではこの制度は適用されませんが、弁護士会が運営する「当番弁護士制度」によって、初回の接見を無料で受けることができる仕組みも存在しています。

起訴後には、憲法第37条に基づく被告人国選弁護制度が適用され、こちらは弁護人の選任が義務づけられています。
このように、被疑者国選事件は刑事司法における人権保障の要であり、制度の理解と適切な運用が、より公正な手続の実現につながります。

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