▼交通事故における損害賠償の算定

query_builder 2025/09/02
ChatGPT Image 手塚治虫風

交通事故における損害賠償の算定は、損害の性質ごとに異なる基準と方法が用いられます。以下に代表的な損害項目について、説明します。
まず、積極損害とは、事故によって実際に支出を余儀なくされた費用を指します。

治療費は、医療機関が発行する領収書に基づいて算定され、必要かつ相当な範囲で認められます。

通院交通費については、公共交通機関の利用が原則とされ、タクシー利用は特段の事情がある場合に限り認められます。

入院雑費や付添看護費も、医師の指示や社会通念上の必要性が認められる範囲で算定されます。
次に、消極損害は、事故がなければ得られたはずの利益の喪失を意味します。

休業損害は、事故によって就労できなかった期間の収入減を基礎とし、給与所得者の場合は事故前の給与明細や源泉徴収票をもとに日額を算定します。

自営業者の場合は、確定申告書や帳簿などから平均収入を算出し、合理的な方法で日額を導きます。

逸失利益は、後遺障害や死亡によって将来得られるはずだった収入の喪失を補償するもので、基礎収入に労働能力喪失率と就労可能年数を掛け、さらにライプニッツ係数を用いて現在価値に換算して算定されます。
精神的損害に対する慰謝料は、被害者の苦痛に対する賠償であり、入通院慰謝料は治療期間や通院頻度、傷病の程度に応じて裁判例や損保基準を参考に算定されます。

後遺障害慰謝料は、認定された等級に応じて定型的な金額が設定されており、死亡慰謝料は被害者の属性(被扶養者か否かなど)や遺族の人数によって相場が変動します。
物的損害については、車両の修理費が中心となり、修理見積書や写真などの資料に基づいて合理的な範囲で認定されます。

修理不能の場合は、事故前の車両の時価額が基準となり、買替費用や登録手数料なども必要に応じて加算されます。

評価損(格落ち損)については、高級車や新車などで事故後の市場価値が下落した場合に認められることがありますが、裁判例によって判断が分かれるため、慎重な検討が必要です。
これらの損害項目は、事故の態様や被害者の属性、社会的背景によっても左右されるため、個別具体的な事情を踏まえた柔軟な算定が求められます。

損害賠償請求においては、証拠資料の整備と法的根拠の明確化が極めて重要です。

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