▼中途採用(中途入社)した労働者を解雇する場合

query_builder 2025/08/15
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中途採用(中途入社)した労働者を解雇する場合、日本では新卒やベテラン社員と区別なく労働契約法や労働基準法の解雇規制が適用されます。

つまり、「試用期間だから簡単に切れる」「中途採用だから特別扱いできる」ということは基本的にありません。

ただし、試用期間中や雇用契約書の定め方によっては、解雇のハードルや手順が若干異なります。


1. 解雇の種類と要件

解雇には主に以下の3種類があります。

普通解雇:業務上の適格性や能力不足、勤務態度不良、勤務成績不良などで客観的合理性と社会的相当性があること(労働契約法16条)

業務成績が著しく低い、無断欠勤が続く、勤務態度が極端に悪い

整理解雇:経営悪化などで人員削減が必要な場合。

以下4要件を満たす必要あり(整理解雇の四要件)

売上急減で事業縮小、倒産回避のため等

懲戒解雇:就業規則に明記された重大な規律違反。

即時解雇も可能だが慎重に横領、重大なハラスメント、無断長期欠勤


2. 試用期間中の中途採用者の解雇

試用期間であっても客観的合理性と社会的相当性が必要。

採用後すぐに判明した経歴詐称、重大な勤務不適格などは比較的認められやすい。

ただし、本採用拒否も「解雇」にあたるため、30日前の解雇予告または予告手当が必要(労基法20条)。

試用期間中は「通常よりは解雇が認められやすい」ものの、あくまで採用判断を誤った場合の限定的な救済措置。


3. 解雇手続の流れ

問題点の把握・証拠化 :成績不良なら評価記録や業務指導記録 勤務態度不良なら注意書、始末書、勤怠記録など 指導・改善機会の付与

口頭注意 → 書面注意 → 改善指導

社内制度に沿って懲戒手続も視野に

就業規則・雇用契約書の根拠確認

解雇事由が規定されているか

労働者への説明

解雇理由を具体的に伝える(書面交付は望ましい)

解雇予告または予告手当の支払い

30日前に予告または平均賃金30日分支払い

離職票・社会保険手続 ハローワーク・年金事務所等への届け出


4. 違法リスクを下げるポイント

「あいまいな理由」は避け、事実を記録化

改善機会を与えずに即解雇はほぼ違法

感情的な人間関係トラブルだけでの解雇は危険

試用期間中も正社員同等の法的保護あり

不当解雇と判断されると解雇無効+賃金支払い義務が発生


5. 実務上よく使われる代替手段

合意退職(退職勧奨)

双方の合意で雇用終了

解雇リスク回避

契約社員化+契約満了

中途採用時から有期契約にして更新せず満了終了

不更新理由は説明すべきだが、解雇ほど厳しい要件はない

配置転換・職務変更で改善を促す

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