▼生活保護受給者と養育費の支払義務

query_builder 2025/08/12
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生活保護受給者と養育費の支払義務は、日本ではかなり複雑な扱いになっています。

ポイントを整理すると次のようになります。


1. 養育費の支払義務は生活保護を受けても消えない

民法上、父母は子どもが成年に達するまで(あるいは必要な場合はそれ以降も)扶養義務を負います(民法第877条・第880条等)。

生活保護を受給しても、この法律上の義務は免除されません。

ただし、現実に支払えるかどうかは、保護費の性質との関係で別問題です。


2. 実際の運用(厚生労働省の考え方)

生活保護は最低生活費を保障する制度なので、原則として保護費から養育費を支払うことは想定されていません。

ただし、就労収入や年金収入などがあって最低生活費を上回る場合、その「超過分」から支払うことは可能です。

実務的には、生活保護を受けている間は養育費の履行を免除または減額する調停・和解が行われることがあります。


3. 裁判例・調停例の傾向

家裁の調停や裁判で、生活保護受給中は月5,000円程度に減額される例が多いです。 → これは「義務は残すが履行能力に応じて減額」という考え方。

支払額ゼロにする例もあるが、その場合も生活保護脱却後には見直す条件付きが多いです。


4. 生活保護側からの回収(求償)

生活保護を受給している親に養育費支払義務がある場合、自治体はその支払を強制することはできません(差押え禁止)。

ただし、生活保護を受けている親が逆に養育費を受け取る立場なら、その分は保護費から控除されます。


5. 実務での対応方法

養育費減額調停・免除調停を申し立てる

生活保護中であれば、現実的に支払えない事情を説明して減額を求めるのが一般的。

生活保護廃止後に再協議 状況が改善すれば元の額に戻ることもあり得ます。

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