▼生命保険金と特別受益の関係

query_builder 2025/08/01
ChatGPT Image 手塚治虫風②

生命保険金と特別受益の関係は、相続において非常に繊細かつ重要な論点です。

以下に、法的な枠組みと裁判例を踏まえて詳しく解説します。


🧾 特別受益とは?

民法第903条に基づき、共同相続人のうち特定の者が被相続人から生前贈与や遺贈を受けていた場合、その利益を「特別受益」として遺産に持ち戻して公平な分割を図る制度です。


💰 生命保険金は特別受益になるのか?

✅ 原則:特別受益には該当しない

生命保険金は、保険契約に基づく受取人固有の財産とされ、相続財産には含まれません。

したがって、通常は特別受益にも該当しないとされています。


⚠️ 例外:特段の事情がある場合は特別受益に準じる

最高裁平成16年10月29日判決では、以下のような事情がある場合、生命保険金を特別受益に準じて持戻しの対象とすることが認められました。

特段の事情の判断要素

保険金額多額であるか :遺産総額との比率保険金が遺産の大部分を占めるか

同居の有無:被相続人と受取人が同居していたか

介護の貢献度:被相続人への貢献があったか

相続人間の関係性:他の相続人との公平性

生活実態:受取人の生活保障の必要性


⚖️ 裁判例で見る判断の分かれ方

 平成16年最高裁:5,958万円、793万円、13.3% 該当しない

平成17年東京高裁:1億0134万円、1億0129万円 99.9% 該当する

平成18年名古屋高裁:8,423万円、5,154万円 61.1% 該当する

令和4年広島高裁:772万円、2,100万円 272.0% 該当しない

※金額だけでなく、生活保障の必要性や関係性も重視される。


🧠 実務上のポイント

生命保険金が特別受益に該当するかは、金額だけでなく背景事情の総合判断。

遺産分割協議で争点になる場合は、専門家(弁護士・税理士)への相談が推奨されます。

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