▼日本の法律における「法律上の離婚原因」について

query_builder 2025/07/03
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日本の民法第770条第1項では、裁判で離婚を認めてもらうための「法定離婚事由」が5つ定められています。

これらは、夫婦の一方が離婚を望んでいても、相手が同意しない場合に、裁判所に離婚を請求するための根拠となるものです。


1つ目は「不貞行為」です。

これは、配偶者が自由な意思で他の異性と性的関係を持つことを指します。

たとえ一度きりの関係であっても、婚姻関係を裏切る行為として、離婚原因になります。

ただし、夫婦関係がすでに破綻していた場合などは、不貞行為が離婚原因と認められないこともあります。


2つ目は「悪意の遺棄」です。

これは、正当な理由なく配偶者との同居を拒否したり、生活費を渡さなかったりするなど、夫婦としての義務(同居・協力・扶助)を果たさないことを意味します。

たとえば、無断で家を出て長期間連絡を絶つような場合が該当します。


3つ目は「3年以上の生死不明」です。

これは、配偶者の生死が3年以上わからない状態が続いている場合に認められます。

単なる音信不通ではなく、生きているのか亡くなっているのかが確認できない状態である必要があります。


4つ目は「強度の精神病」です。

配偶者が重度の精神病にかかり、回復の見込みがなく、夫婦としての生活を維持することが著しく困難な場合に該当します。

医師の診断や治療状況などが判断材料となりますが、単に病気であるというだけでは足りず、婚姻関係の継続が現実的に不可能であることが求められます。


5つ目は「その他婚姻を継続し難い重大な事由」です。

これは、上記の4つに該当しない場合でも、夫婦関係が破綻していて修復が困難な場合に認められます。

たとえば、ドメスティック・バイオレンス(DV)、モラル・ハラスメント(モラハラ)、長期間の別居、性格の不一致などがこれに含まれる可能性があります。

ただし、性格の不一致だけでは離婚原因と認められにくく、他の事情とあわせて総合的に判断されます。


これらの離婚原因は、裁判離婚を求める際に必要となるものであり、夫婦が話合いで合意して離婚する「協議離婚」では、これらの理由がなくても離婚は可能です。

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