▼他人の名前で「本やCD」を勝手に注文、どんな罪になるの?

query_builder 2025/03/07
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他人である会社の名前をかたって、ネット上でシューマイや書籍などが発注される被害にあっていた会社がありました。

こうした「勝手に送りつける行為」は、どのような罪に問われるのだろうか?

また、もし身に覚えがない商品を送りつけられた場合、どのような対応をすれば良いのだろうか?

弁護士濵門俊也が解説します。  


【コメント】

●「勝手に送りつける」行為は、偽計業務妨害罪に問われ得る。

まず、軽犯罪法第1条第31号の業務妨害の罪が考えられます。

しかし、本罪の行為はいたずらなどで業務を妨害する行為であり、一時的なたわむれで、それほど悪意のないものであるところ、会社職員が対応に追われ業務執行が一時停止していること、店側としても無用な配達を強いられ代金ももらえなかった等の事情からすれば、一時的なたわむれとはいえないでしょう。

本件の行為は、偽計業務妨害罪(刑法第233条)に問われ得ることとなります。  

【参照条文】 刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

「偽計」とは、人をあざむき、誘惑し、あるいは他人の錯誤や不知を利用する違法な行為です。

すなわち、今回の事件は、被疑者がインターネットでウソの注文という偽計を用いて、シューマイや書籍などを配送させたことで、店側の通常の業務を妨害した罪ということになります。

他方で、無用な事務の処理に追われた会社職員らの業務まで妨害したこととなります。  

嫌がらせにしろ、いたずらにしろ、ウソの注文などはしてはいけません。

かりに、ほんの出来心や義憤に駆られたものであったとしても、その行為、犯罪になるかもしれません。お気を付けください。  


●身に覚えがない商品を送りつけられた場合における対応

嫌がらせをされた会社側は、注文していないので、シューマイや書籍などを受け取る必要はありませんし、代金を支払う義務もありません。

そもそも、「売買契約」が成立していないので、受け取っただけでは契約は成立しませんし、代金の支払義務もありません。  

かりに、商品を受け取ってしまった場合、「返品は認めません」とか、「返品しない場合は代金をいただきます」というようなことが書いてあったとしても法的には無効です。

ただし、この時点では商品は自分のものではないので、商品の封を開けて使用したり、必要ないからといって処分してしまうと、購入する意思があったとみなされるおそれがあるので注意が必要です。

ちなみに、「特定商取引法」には、商品の送付があった日から数えて14日間を過ぎれば、送り付けた業者は商品の返還を請求することができなくなると定められています。

よって14日間を過ぎれば、商品は使用しても処分しても自由、ということになるのです。

とにかく、まずは注文した覚えのない商品は受け取らない、代金は支払わないことが大切です。


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