▼妻が「ネトゲのアカウント」を消去し、夫激怒ーーゲームのアカウントは「財産」なのか?

query_builder 2025/02/14
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夫のネットゲームのアカウントを消したら、激怒して離婚を申し込まれたーー。

結婚したばかりの女友達から、そんな告白があったことを報告するツイートが2万回以上リツイートされ,話題になったそうです。  

投稿者によると、女友達は仕事に集中してほしいと考え、サプライズで夫が遊んでいるネトゲのアカウントを消したそうです。

女友達は激怒する夫をみて、取り返しがつかないことをしたと考えたのか、投稿者に助けを求めてきたのだといいます。  

投稿者は、ネットゲームのアカウントは、所有者にとっては財産だとして、夫婦間であっても人のモノを勝手に処分することにやめるよう求めていました。

いくら夫婦とはいえ、夫(妻)のモノを勝手に処分することは法的に問題なのでしょうか。

ネットゲームのアカウントも財産に含まれるのでしょうか。

弁護士濵門俊也が解説します。  


●解説コメント

本投稿のように夫(妻)のモノを勝手に処分することは刑法上は器物損壊罪に該当し得る行為ですし、民法上の損害賠償請求の対象となり得ます。

ただ、ネットゲームのアカウントが財産に含まれるかは法律上微妙な問題を含みます。

といいますのは、財物は民法上、有体物と定義されており、ネットゲームのアカウントは有体物ではありませんから、器物損壊罪の適用は困難です。

もちろん、勝手に他人のアカウントにログインすることは、不正アクセス禁止法に触れる可能性があります。

ネットゲームのアカウントに限らず、ゲーム内のアイテムを勝手に処分したとしても、ゲーム内のアイテムも有体物ではありませんから、やはり財物とはいえません。

ゲーム会社としては、アイテムを「財物」と認めてしまうと、人気が低下し需要がなくなってもゲームサービスを停止することができなくなってしまうという事態も生じえるからです。

ゲームを閉鎖する際に、プレーヤーが「財物」としてのアイテムの所有権を主張し出したとしたら、収拾がつかなくなることは火を見るより明らかです。

ただ、実際の事案としては、被害者(40代男性)からID及びパスワードを詐取し、そのID及びパスワードを一般公開したため、希少なゲーム内のアイテムなどが勝手に処分されたという事案において、慰謝料等が認められた事案(和解で終結)や「ゲーム内仮想通貨(ポイント)でアイテムの代金を支払う」と持ちかけアイテム(1300円相当)を受け取ったが、支払わずに接続を切ったという事案において、詐欺罪を認めた判決(執行猶予付きの有罪判決)等もあります。

当職としては、ネットゲームのアカウントやアイテムの財産性を認めることには慎重に対応すべきと思います。

もちろん、本投稿のような事態が生じる可能性は否定できず、何かしらの対処は必要だと思います。

当面は、不正アクセス禁止法違反の量刑を重くするなどして対応する方法が現実的かと思います。


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