大貫正一先生の大法廷における口頭弁論をご紹介

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現在絶賛放送中のNHK朝ドラ『虎に翼』

今週は、尊属殺重罰規定の違憲判決事件が取り扱われています。

本日は、被告人の弁護人であった大貫正一先生の大法廷における口頭弁論をご紹介します。


【以下引用始め】

刑法第200条の合憲論の基本的理由となっている「人倫の大本、人類普遍の道徳原理」に違反したのは一体誰でありましょうか。

本件においては被告人はその犠牲者であり、被害者こそこの道徳原理をふみにじっていることは一点の疑いもないのであります。

親子相姦という如き行為は、古代の未開野蛮時代なら格別、人類が神の存在を信じ長い歴史的試練を経て確立した近代文明社会における道徳原理からみれば、何人とも言えども許すことのできない背徳行為であります。

被害者の如き父親をも刑法第200条は尊属として保護しているのでありましょうか。

かかる畜生にも等しい父親であっても、その子は服従を要求されるのが人類普遍の道徳原理なのでありましょうか。

本件被告人の犯行に対し、刑法第200条が適用され、且つ右規定が憲法第14条に違反しないものであるとすれば、憲法とはなんと無力なものでありましょうか。

弁護人は法曹としてその無力さを嘆かざるをえないのであります。

また、もしそうであるとすれば、もはや、刑法第200条の合憲論の根拠は音を立てて崩れ去ると考えられるがどうでありましょうか。

【以上引用終わり】

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